东京A市中学食育活动实况和课题
—根据参访数据的KJ法分类
野田聡子,大竹美登利
摘 要:根据2005年制定的食育基本法,东京都与2006年9月、A市于2008年6月制定了推行饮食教育计划。其中特别提出加强学校的饮食教育。在中学,有大量教授饮食教育的家庭科教师以及本校供餐的营养师。本研究以家庭科教师和营养师为中心,对A市中学的饮食教育的实况进行研究。
关键词:食育,家庭科教师,营养师,供餐
总结:1、本研究得出如下结果:
(1)在中学,营养师对饮食教育的期望与以教科为中心的学校文化存在矛盾。
(2)通过发挥营养师的独立性,希望能够超越教科书目的学习,进行更广泛的饮食教育。
東京都A市中学校における食育活動の実態と課題
-インタビューデータのKJ法による分類から
野田聡子,大竹美登利
目的
平成17年制定の食育基本法を踏まえ、東京都では平成18年9月に東京都食育推進計画を、A市では平成20年6月にA市食育推進計画を策定した。これらの中では特に、学校における食育の充実を提案している。中学校での食育推進を図る上では、食領域が教科の学習内容に含まれる家庭科の教員と、自校式給食の運営を担う学校栄養士の存在が大きい。そこで本研究では、A市の中学校において、家庭科教員や栄養士を中心に行われている食育活動の実態と、その課題を探ることを目的とする。
方法
【調査方法】東京都A市内の公立中学校にて、各校の家庭科教員や栄養士に対し、校内での食育取り組み状況や課題に関する半構造化インタビューを行った。インタビュー内容はICレコーダーで録音した。その後録音データを全て文字に起こし、KJ法をもとに分類した。
【分類方法】分類にはKJ法を使用した。インタビューデータをラベリングし、そのラベルをもとに表札作り、島作りを行い、図解を作成した。その後、図解を文章にて説明する文章化を行った。
【インタビュー対象者】A市立中学校全5校に調査協力を依頼し、了承が得られた4校を本研究の対象とした。インタビュー対象者の内訳は、4校に所属する家庭科教諭4名、栄養士2名の計6名である。
結果
(1)中学校では、教科中心の学校文化が栄養士の持つ食育への期待を
跳ね返す構造がある。中学校で働く栄養士は、小学校勤務時と同様に中学校でも食の専門性を生かし、機会があれば授業に参加して食育を行いたいと、<食育への期待>を抱いている。しかし、義務教育の中でも教科担任制を背景とする中学校では、学校全体で何かに取り組むよりも、各教科がそれぞれの役割を担うといった≪教科中心の学校文化≫があり、小学校とは異なっている。教科中心の学校文化の中で、家庭科は食育と関連の深い教科であり、ゆえに家庭科の果たす役割は大きいと思われる。家庭科の教員も、食に関する学びが教科の主な学習領域の1つであることから、校内における食育の中心は家庭科教員の自分自身であると認識している。しかし家庭科では以前から食の学習を行っており、それに「食育」という冠が付いたにすぎないこと、限られた授業時数の中でこれまで以上に食ばかりに時間を割くのは難しいと考え、学校全体で新たに食育に取り組む必要性を感じていない。したがって、食育推進の新たな展開を目指す栄養士とは必ずしも食育に取り組む姿勢が一致せず、栄養士から見と、家庭科の教員は食育を好意的には捉えていないと受け止めていた。また栄養士は各教科の年間指導計画から、家庭科の他にも理科や社会、保健などが食育関連することを把握しているが、これらの専門教科で食育を行うには<教科に結びつけることの難しさ>があると認識している。以上のことから、栄養士の抱く<食育への期待>は、中学校では≪教科中心の学校文化≫の中で専門性ある教員や<教科中心>の厚い壁に跳ね返される実態が見出された。
(2)栄養士の独自性を生かすことで、教科を越えた広い学びの展開が期待できる。A市の教員は全員東京都採用であるが、栄養士の多くはA市が独自に雇い各校に配置している。ゆえに教員とは異なり、栄養士の多くはA市に密着した存在である。<‘地域’の視点>を強く持つ栄養士は、給食メニューの工夫や地域人材を活用した食育の取り組みなど、特徴的な実践を行っていた。また、学年や教科の枠を超えて生徒を把握している点は栄養士の特徴の一つであり、各教科の指導を踏まえ、教科横断的な食に関する掲示物などの<学習環境作り>を学校図書館司書などと共に行った事例もある。このように中学校でも地域に密着し、学校を広く見つめることのできる栄養士の専門性やネットワークを生かすことで、校内でより広がりや深まりのある食育活動の展開が期待できるといえよう。
出处:日本家庭教育学会第56届