教師の職能成長における教員評価および学校評価制度の現状と課題 -静岡県公立高等学校を基本調査対象にして-
一之瀬, 敦幾 , 山﨑, 保寿
要約:現在、我が国では、新たな教員評価制度、学校評価制度の導入が進んでいる。本研究では、教師の職能成長にとって2つの評価制度の現状と課題を明らかにすることを目的とする。そのため、教師の成長理論や評価制度の成立過程などを整理し、静岡県の公立高等学校の学校評価を中心にした質問紙調査に基づいて、現状と課題を明らかにする。研究の結果、次の点が明らかになった。第1に、教員評価と教師の職能成長に関する行政施策と研究動向を整理した。その結果、教育委員会の主導のもとに、能力と業績に応じた適正な人事考課を行うことが目指されていることが明らかになった。それにより、教員の資質向上および学校組織の活性化を図ることを目的に、新たな人事考課制度が実施されていることが明らかになった。第2に、これらを踏まえて学校の実態と教師の特性について検討を行った。その結果、現在の学校教育の方向が、基礎的・基本的な知識・技能の習得に加え、思考力・判断力・表現力等の育成や学習意欲の向上、多様な人間関係を結んでいく力の育成等を重視しており、そうした指導力を有する教員を養成する必要があることが考察された。したがって、学校経営に対する学校評価は、学校経営計画を遂行している教師によるところが多く、その遂行能力や行動は教師の資質能力そのものであり、教師の資質能力を向上させることがひいては学校経営の向上につながることについて考察した。
第3に、実際の調査結果から評価と職能成長との相関的な関連性を明らかにした。すなわち、教員評価と学校評価との相関係数(スピアマンの順位相関係数)を算出すると0.56(p<0.01)であり相関が認められた。これにより、現在行われている教員評価は大きな学校評価システムの一部に含まれると考えることができ、教員評価の評価結果を上げることが学校評価の結果を向上させることにつながることが明らかになった。
摘要:现在,日本引入了新的教师评价制度和学校评价制度。本研究通过分析整理教师成长理论以及评价制度的发展,以静冈县公立高等学校的学校评价系统为对象制作调查问卷,以分析对教师职能成长有关的两种评价制度为目的,调查结果如下:
(1)通过分析与教师评价和教师的职能成长相关的政策及研究趋势发现,在教师委员会的主导下,根据教师能力与业绩来进行绩效评估。基于此,为实现教师资质的提高及学校组织的灵活度,需要实施新的人事考核制度。
(2)通过对学校的实际状况和教师的特性进行讨论发现,原来学校教育只注重学习基本知识,如今学校教育更加注重养成学生的思考力,判断力以及表现力,提高学校欲望,加强人机关系。基于此,学校必须培养具有这些指导能力的教师。
(3)从实际的调查结果我们可以知道教师评价与学校评价的相关系数为0.56,这说明现如今教师评价是整个大的学校评价系统的一部分,教师评价结果上升,学校评价也随着升高。
出处:《教科開発学論集》2013年3月