学校管理職モデルの再検討 : 公立高校の女性校長を取り巻く状況に着目して
河野 銀子 , 池上 徹
本研究は、公立高校の女性管理職のキャリア形成をめぐる状況の分析を通して、学校管理職の任用や養成に関する議論における従来の管理職イメージやモデル、とりわけ〈teaching〉と〈management〉の関係について考察を加えるものである。10都道府県の女性の公立高校校長経験者18名に対して、勤務経験の詳細、キャリア形成の契機やプロセス、教職や管理職についての考えなどを尋ねるインタビューを実施し、初任期、中堅期、管理職期の各期に形成し発揮してきた意識や力量がいかなるものだったかを捉えた。インタビュー協力者たちは、初任期には生徒に対する教育実践上の力量を形成していた。中堅期には役割の変化や経験の拡大を通して、生徒に対するものに限定されない〈management〉の力量を獲得していた。管理職期には〈management〉を行っているが、それは〈teaching〉における力量の発揮の仕方と連続性を持つもので、管理職としての活動の源泉に〈teaching〉があると認識していた。ここから、〈teaching〉と〈management〉の力量形成を分離して捉える管理職養成システムの問題点が指摘できる。
摘要:本研究通过分析公立高校女性管理职业发展状况,考察学校管理人员的任用和聘任相关的管理形象,并着重考察教学与管理之间的关系。
通过采访10个都道府县公立高校的18名女性校长,采访内容包括工作经验,职业发展形成的契机以及对教学与管理的看法,了解校长在初任时期,中坚时期以及管理时期所发挥的能力和意识。
接受采访的校长认为,初任时期主要注重教学实践,中坚时期注重角色转变及扩大经验,而管理时期主要发挥自己已形成的力量,重新认识管理的角色。
出处:《山形大学紀要. 教育科学》2012年2月