中国の小学校における特別支援教育の現状と課題
雷秀雅 , 楊振 , 郭成 , 何暁毅
本研究は広範囲の中国において,19の地域,296校の小学校関係者に対して面接調査を実施し,今日の中国の小学校における特別支援教育の状況について分析した.その結果,まず,通常の小学校に在籍する特別支援児童の割合は低く,通常の学校では16%程度しか特別支援教育を提供することができていない.
また,教育局の官僚や学校管理者,さらに一般の教員や子ども達でさえ,特別支援教育に対する理解の程度は高くない.大多数の教員は,通常学校においても特別支援教育は重視すべきと考え,特別支援教育に関する研修の必要性を感じている.
一方,子どもの側では,約80%の者が特別支援児童を受け入れたいとは考えているものの,対応の仕方が分からないと回答している.また,特別支援児童とその保護者の95%以上が通常小学校に入学したい,させたいと考えている.こうした結果から,現状における中国では,統合教育の意義と必要性は認識しつつも,実際にはその高い需要と供給との間に顕著なギャップが存在していることが明らかにされた.
一方,今日の中国の学校教育体制の中では,未だ「統合教育」に関する考え方(概念・意義を含め)が十分に浸透しておらず,今後の教育政策の中で早急な取り組みがなされ,迅速な展開・改善が期待されるところである。
摘要:本研究在全中国范围内选取19个地区的296所小学,对学校的领导,教师,学生等进行面谈,旨在了解中国小学的特别支援教育的现状。分析结果如下:
首先,接受特别支援教育的儿童所占比例普遍较低,约为16%。
其次,教育行政人员、学校领导、教师以及学生对特别支援教育认识不够。大多数教师认为有必要重视特别支援教育。
最后,有80%的小学生表示希望得到特别支援。现在中国需要重新认识综合教育的意义以及必要性,明确供求关系。
出处:《東亞経濟研究》2011年1月